かゆみが意味するもの [育児・子育て]

「かゆみ」には湿疹やアトピー性皮膚炎、乾燥や虫さされなど外的要因によるものなど様々ある。

「かゆみは愛の対象から理解されたいという強い欲求である。」
と書いたのは、ディディエ・アンジューである。
その前に「幼年時代、母親や家族からの優しく、温かい、確固とした、安心させるような、意味深い接触に出会えなかった場合」とも書いている。
このような状況で育てられた人は、たぶん皆無と言える。
だとしたら、ほとんどの人は何らかの「かゆみ」という手段を使って
自分の欲求を表現する可能性は大きいと言えるだろう。

確かに、臨床の中で「皮膚はクライアントの語らいである」と感じることも多々ある。
「かゆみ」の場所が同じであっても、その語らいはクライアント固有のものである。
かゆみによって、肌に触れて欲しい、注目して欲しいとの欲求を訴えていることもあるし、
自ら血が出るまで掻きむしることによって、自分の領域を意識する場合もある。
痛みとその痕跡によって生きていることの実感を得る人もいる。
嫌悪する人の声を聞いたとたん、全身がかゆくなってしまった人もいる。
好きなアーティストの音楽をiPodで聴くことを止めた途端、耳の後ろがかゆくなり掻きむしったという人もいる。
それは心地良い声によって自らが至福の時を過ごすことを中断することによって
無意識にかゆみとなって身体症状化となって現われた。
その証拠に、皮膚科のどんな薬も効かず、分析の場で言語化した途端、かゆみは消えた。

その人にとっての「愛の対象」から理解されたいという強い欲求が、
皮膚という身体の一部を使って「かゆみ」という症状を作り出すのなら、
その「かゆみ」の意味するものをその人固有の言語に置き換えたら、消失するのは確かだと言えるだろう。


Φ シニフィアン研究所のHPはこちら   http://www3.ocn.ne.jp/~desire4/
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